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 夢運ぶボールパーク

 この瞬間、横浜ベイスターズファンの誰もが「これは奇跡だ」と思ったに違いない。この奇跡はプロ野球リーグ戦22日~24日までの対広島カープ戦で起きた。
 今年は連日満員が続いているが、このカードもすべて満員の盛況だった。それだけベイファンのチームにかける熱さを物語っている。
 このようにして奇跡は起きた。実況中継風に綴ってみることにする。
 第1日目の22日。ベイスターズは9回カープに2対5と好調カープは絶対的有利な状況にあった。土壇場で反撃の狼煙を上げたのは、日本の4番筒香選手4年連続20号となる2ランホームランだった。右中間席最上段に突き刺さる4年連続20号となるメモリアルアーチであった。これで4対5ノーアウトである。次の打者は4番ロペス。連続ホームランが生まれた。「やったぜ。見たかこの俺の底力」といったかどうかは外国語で分からないが、かなり興奮して、腕を突き上げてダイヤモンドを駆け抜けた。これで同点。俄然ムードは最高潮へ。期待を背負ってセリーグリーディングヒッター宮崎が打席に入る。第1球レフトに強烈なライナー性の当たり。あれあれという間に左翼席最前列に飛び込む、3者連続となるさよならホームランだった。グランドでは選手が1塁側応援席のファンも狂喜乱舞の有様。余韻は夜遅くまで残った。これが第1日目の横浜劇場の開幕の模様である。
 第2日目の23日。再びミラクルは起きたか「横浜劇場」。逆転はカープの謳い文句。ところがこの日もカープが前半から優勢に試合を進めていた。最終回になる筈の9回裏2死からロペスが連夜となるソロホームランを左翼席に放ち同点に持ちこむ。延長10回裏四球で戸柱が出塁した。続く梶谷は不振が続き蚊帳の外にいたが、ここで目覚めたか2塁打を放つ、戸柱が激走し頭から突っ込みホームベースを手でタッチ。再びサヨナラを演出した。青と赤に色分けされた両軍ファンも延長戦だというのに、スタンドに釘付けになり、席を立つ人の姿はなかった。この熱戦の裏にはファンの後押しが大きく働いていると強く感じた。
 第3日目の24日。この「横浜劇場」はこれだけでは終わらなかった。この3戦目は9回を4対4の同点で迎えた。ラミレス監督は迷わずクローザーの山崎をマウンドに送り出した。その期待に応え三者三振で9回裏へと味方を導いた。この裏の攻撃は2死ここでゴメス後藤の登場。先日初ヒットで気をよくしたかフェンス直撃の2塁打。代走は高城、ラストバッター倉本の当たりはセカンド菊池の目の前へ、神様の悪戯かここでボールがイレギュラーし、名手菊池がなんとグランドに這いつくばってしまった。内野安打であったが、高城が判断よく激走ホームを走り抜けた。これで3度のサヨナラ勝ち。唖然茫然の瞬間である。「57年ぶり3戦連続サヨナラ」翌日の新聞には一面にこの文字が躍った。
 奇跡は2度起こらないというから、この試合を目の前で見ることのできたファンは幸運である。選手も又幸運に恵まれた。このツキがこれからのベイスターズの戦いにどう反映されていくかが楽しみである。
 「横浜劇場」を最高潮にまで盛り上げた選手とファンにテレビの前から拍手を贈る。2017.8.26



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