職人技が伝承されている地元神奈川の工芸品20業種を、神奈川の名産100選から3回に分け紹介する。今回は第3回目(神奈川県ホームページ及び各会社のHPを参考にして作成した。工芸品などの画像は制作者HP を参照されたい)。
11.小田原木製品
平安時代、京都から木工の職人が移り住んで来たことが、この地域の木製品の歴史の始まりとされている。現在でも箱根寄木細工、小田原漆器といった伝統的工芸品をはじめ、木象嵌、秘密箱、豆茶器玩具、挽物玩具、小指物などいろいろな種類の木製品が作られている。
(一社)箱根物産連合会
12.小田原提灯
江戸時代の中頃、提灯職人の甚左衛門(じんざえもん)が考え出したと言われ、携帯に便利なように小さく折りたためる、中骨が平たいため胴紙が剥がれにくく丈夫で、雨や霧にも強いといった特長がある。
(1)山崎ちょうちん店 (2)飯沼商店
13.小田原工芸鋳物
室町時代より続いている小田原の鋳物は、北条の時代からの伝統工芸のひとつ。粘土を混ぜた砂で作った型のなかに溶けた金属を流し込んで鐘、仏鈴、風鈴などの鳴り物や茶器などを作る。仏鈴や風鈴は余韻が長く音色がよい。
(株)柏木美術鋳物研究所
14.箱根寄木細工・木象嵌
箱根寄木細工は、江戸時代後期に箱根山の畑宿で始まり、自然木の色合いを生かして、幾何学模様をつくりあげたもの(昭和59年、経済産業省指定伝統的工芸品)。木象嵌(ぞうがん)は明治25年に開発された糸鋸ミシンを用いた引き抜き象嵌技法。
小田原箱根伝統寄木協同組合
15.真鶴の小松石
平安末期より、江戸城の築城にも用いられた。安山岩特有の緻密な石質、気品のある淡灰緑色の色調などから、高級墓石材として人気がある。花器なども作られている。皇室をはじめ、徳川家や北条家、源頼朝など歴史上の人物の墓石にも使用され、古くから親しまれている。
神奈川県石材協同組合
16.横浜スカーフ
明治6年のウィーン万国博覧会や明治13年のメルボルン万国博覧会への出品をきっかけに始まる。世界最高の水準を誇る高度な手捺染技術、丁寧な縫製が特徴。なお、現在生き残った企業のほとんどは、スカーフ以外(繊維関係)などの産業で成り立っており、いまは発注がない限り、原則スカーフは作っていないとのこと。なお、現在の出荷量は昭和51年のピーク時の、10分の1ぐらいではないかとのこと。
横浜繊維振興会
17.横須賀のスカジャン
戦後横須賀にアメリカ軍のベースが出来、ドブ板にいた米兵が東洋のお土産としてオリエンタルなデザインや自分の所属する 艦や部隊の名前、マスコットを刺繍した物がスカジャンのルーツ。当初はスーベニアジャケット souvenir jacketと呼ばれ、レー ヨン素材のベースボールジャケットに鷲・虎・龍の刺繍を施した物が米兵に人気が有り、朝鮮戦争やベトナム戦争 が始まるとモチーフのデザインも多彩になり、この頃からスカジャン sukajan,sukajyan(ヨコスカジャンパー)と呼ばれるようになった。
ドブ板通り商店街振興組合
18.津久井のくみひも
津久井の組紐は大正10年鳥屋出身の佐藤時太郎氏が東京に創業した工場に津久井の人達が働きに出て、帰村後次々に製紐業を興したのが始まり。
その後、近代的な産業として発展したが、太平洋戦争による事業所閉鎖などで昭和24年に生産が開始されたときにはもとの個人業に戻ってしまった。
昭和40年代には製紐業も多様化して盛んになり、現在は20社ほどの企業が、各自の得意の分野で組みひもを生産し、全国的にも高い生産量を誇っている。技術的にも評価の高い優美な津久井の組みひもは、衣料用、手芸用、産業資材など幅広い用途で世界に広がっている。
津久井製紐同業会
19.半原のぬい糸
1807年群馬県桐生から八丁式撚糸機を導入したのが始まりといわれる。絹ぬい糸から、合成繊維となり、現在ポリエステルぬい糸は全国の約3割のシェアを占める。半原地域を中心とする繊維産業は、江戸時代からの長い歴史をもつ地場産業〔撚糸・織物縫糸・製紐・染色〕として、優れた製品を送り出している。ミシン糸・ネクタイ・スカーフ・ファンデーション・カーテン・刺繍糸など多くの製品がある。
(財)繊維産業会
20.半原のネクタイ
江戸時代、半原の伝統的な撚糸技法に絹織物技法を使った紋織物。現在は絹織物が中心となり、高級品のブランド製品が主力である。「半原のネクタイ(RaVine)」は、全世界でみても製造できる会社が数えられるほどしかない「フレスコ(からみ織)」という高度な技術を用い、爽やかな風合い、透け感による涼しげな外観を備える希少性が高い織物である。
三和織物(株)