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 魅るヒント(6)


 第6回目は「Paintえがく」からヒントを探すことにしよう。えがくは絵を描くことで、対象はかなり多い。昔から絵を描くことは図画の時間が一番楽しかったせいか、今でも飽くことなく描くことができる。 「好きこそものの上手なれ」という諺があるが、たとえ上手でなくても「好き」もしくは「好きになる」ことが魅るヒントになる。現在HP上で掲載している絵は、画家のような独創的な作品ではない。以前にも書いたが塗り絵である。要は輪郭さえあれば色は好きなように塗る。絵筆や絵具の代わりにタブレットペンとペイントソフトのカラーを使う。パソコン上の絵はドット₍点₎の集まりである。その点を組み合わせて形を作っていく。必要なのは根気で、地味だがこつこつ続けることが大切だ。それゆえ好きでないと続かない。
 それでも得意、不得意はある。抽象的図形はイメージが湧かず、ほとんど写実的な絵になってしまう。葛飾北斎が好きで、富嶽三十六景は終わり、いまは富嶽100景の塗り絵をしている。ほとんどが無彩色なので、着色は今までの北斎の色彩感覚を思い出して、手探りで色付けすることになる。ここでのヒントは画風を知ることである。浮世絵は版画であるため、赤、青、緑、黄、白、黒の基本色に茶色や橙色の混色合わせて色数は10色程度の使い分けで済む。濃淡を気にすることもない。せいぜい空にグラデーションをかける程度である。写実的な絵といったが、北斎にしろ写楽にしろ写実というより、印象を大切にしているようだ。
 ここでヒントだが、絵を描く場合どこかにピントを合わせ特徴を持たせないと、印象に残らない平板な絵になってしまう。見た光景なり対象(花など)を再現する場合、無駄なものは極力排除して、何に惹かれたかを表現できれば成功である。
 できるだけ名画を鑑賞すると審美眼が養われるのは確かである。よく「目利き」という言葉を耳にするが、これは即「魅る」目を持っている人のことをいう。
 こと絵に関して私が審美眼があるかないかは自分でもよく分からないが、絵画は光と影が醸し出すシンフォニーと受け止めて眺めてみると、名画はどれも独特の調和と輝きを放っていることに気がつく。現在手掛けているベンシャーン模写は美術館の特別展で実際に目にし、大きな感銘を受けたのが忘れられず、その時購入した図録を原本に、書き写して着色したものである。模写であるので、これだけは自分で線を描くからコピーをしたものではない。その分画家のオリジナルとは程遠い絵になってしまっているが、構図のアンバランスと手の書き方が独特で一味違う味わいがある。彼の絵は写真をベースにイメージを表現しているが、写真にはない「思い」のようなものが伝わってくる。やはり優れた画家は「魅る」目が違うものだと感心する。
 「魅るヒント」シリーズは一応ここで終わりとするが、また新たな発見でもあれば、再開したいと考えている。(2017.6.28)

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