結婚式は大安が吉日。葬式は友引きの日には行わない(火葬場が休み)。といったように未だに暦は人々の生活の中で生きている。迷信と言われようと、日々暦や易占に縛られて生活している人は意外と多いものだ。
そこで今回は暦とはどういう仕組みで、いつ頃から毎日の生活の中で大きな位置を占めるようになったか調べてみた(暦の読み方:日本実業出版社)。
人間は太陽を中心とした天空の星の動きから、それらがある一定の周期(サイクル)で動いていることを知った。原始人類は月の姿の満ち欠けで、月が恒星の間を約29.5日で一巡することを知っていたという。人類はこうして月と太陽とその他の天体から、日、月、年からなる、より正確な暦を求めてきた。それが29.53日を一月とする旧暦(太陰太陽暦)であり、365.2422日という太陽暦である。
このように暦と天文学、それにまつわる占星術は密接不可分なものとして長い歴史を刻んできた。
バビロニアやエジプトで始まった太陽・月・諸惑星の知識と黄道12宮(ホロスコープ)という西洋占星術に対し、東アジアでは中国で星と人生を結びつける陰陽五行説が生まれ、仏滅・大安といったものも、十干十二支という太陽・月・惑星の運行を土台に決められたのである。
ホロスコープでは木星を重要な星と位置づけラッキーな惑星・吉星としている。この星は12年でホロスコープ上を一周する。これに対しもう一つ重要な星は土星である。この星は活力の星でありながら凶星で公転周期は29.5年である。古代人は人生80年と見ていたようで、この二つの星の動きで人の人生は運命づけられるとしていた。
その中に我々老境に入った人間にとって、我が身に振り替えて見ても「なるほど」と思われる記述があるので紹介するとしよう。ホロスコープでは人生の周期を11に区切っているが、その老後に当たる時期が9~11までの記述である。
「9.老後の快楽(71歳~75歳)かつての自分は過ぎ去って新しい生活を他の人より余分にもった喜びに浸る自由な時期。木星のピーク位置で老後の快楽が訪れる。
10.孤独の年代(76~80)土星の凶に支配された孤独の老後。友人たちは死に、知る人もない世界に、新たなものが何もおこらぬ孤独の段階。いつ死が訪れても不思議ではない。
11.再誕生(81歳以上)この時期を運命づける木星も土星も、次の周期サイクルの出発点にある。ここでは生死を超えた法悦の日々をおくる赤ん坊のような吉運の生涯をとげる」とある。
今や 2015年の日本人の平均寿命は男性が80.79歳 、女性が87.05歳であるから、それから推察するにこの「9~11」の時期は5年~10年ほど先送りするとしっくり当てはまる感じがしないでもない。
少し脱線気味な暦のエピソードで終わってしまったが、次回は東洋の暦について触れてみるつもりだ。