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 暦と日本人の生活(7)


 十二支(音読みと動物名で表示)とは子(し:鼠)・丑(ちゅう:牛)・寅(いん:虎)・卯(ぼう:兎)・辰(しん:龍)・巳( み:蛇)・午(ご:馬)・未(び:羊)・申(しん:猿)・酉(ゆう:鶏)・戌(じゅつ:犬)・亥(がい:猪)の総称である。
起源は十干より古く、殷の時代には使われていたという。初め、十二支は十二ヶ月の順序を示すための符号(数詞)であった。子は正月、丑は二月・・・というように順繰りにつけていったものと考えられる。この位置付けは時代によって異なり、旧暦では正月が寅の月、二月が卯の月、三月が辰の月・・・の順で十二月が丑の月と定着した。
 暦と日本人(6)でも示したように、十二支は十干と組み合わせて紀年法や記日法に用いられるほか、月名や時刻や方位にも使用されている。
 その用法とはどのようなものなのだろうか、詳しく調べてみる。
 先ず十二支と干支とは異なるもので、干支は十干と十二支を合わせた「十干十二支」の略であって、十二支は古来、「甲子」「丙午」のように、十干と組み合わせて用いられてきた。字音から言えば、十干は「幹」、十二支は「枝」である。十干十二支を合わせたものを干支(「かんし」または「えと」)と呼ぶのが正しい。現代では干支といえば十二支を指すと思われるが、これは十干や五行思想が忘れられた存在になりつつある現象の中で起きた逆転現象とも言えよう。
 子どものころ聞いた怪談話に「草木も眠る『丑三つ時』」とあり、今思い出しても背筋がゾクッとするものだ。この丑三つというのは「昔の時刻で丑(牛)の刻を四つに分けたうちの三番目をいう。 現在の時間では、午前二時から二時半頃にあたりで、化け物や幽霊が出る時刻といわれている」という時間帯となる。
 そこで時計回りでその順番を示すと次のようになる。括弧書きは動物名と時間帯の名称。
 「子(鼠)の刻は23時~1時(夜半)、丑(牛)の刻は1時から3時(鶏鳴)、寅(虎)の刻3時~5時(平旦)、卯(兎)の刻5時~7時(日出)、辰(龍)の刻7時~9時(食時)、巳(蛇)の刻9時~11時(遇中)、午(馬)の刻11時~13時(日中)、未(羊)の刻13時~15時( 日昳:にってつ)、申(猿)の刻15時~17時( 哺時)、酉(鶏)の刻17時~19時(日入)、戌(犬)の刻19時~21時(黄昏)、亥(猪)の刻21時~23時(入定:にゅうじょう)」となっており、意味不明(中国伝来用語)のものもあるが、日出が5時~7時というのはなるほどと思わせる。
 方角を示す組み合わせは次のように使われる。「子の方角とは北をさし、卯が東、午が南、酉が西をさす。その中間にあるものを示すと子と卯の間に丑と寅があるから、丑寅の方角といえば、その真中で東北をさし、「艮」の一字を当て『うしとら』 と読ませる。同様に、卯と午の間に辰と巳があるから、たつみといえば東南をさし、「巽」の一字で『たつみ』と読ませる。以下、南西はひつじさるの方向で「坤」の字を当て、北西はいぬいで「乾」の一字を当てる」と以上十二支の使われ方について説明した。今回をもって「暦と日本人の生活」シリーズを終わりとする。


 


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