昔ある田舎に、饅頭をまる呑みにして食ぺるのを、自慢にしている妙な人がありました。悪い者がよくその癖を知っておりまして、針を饅頭の中にそっと入れておいたのを、知らずに例の通りまる呑みにしたものですから、腹が痛んで苦しんで寝てしまいました。そうして寝ながら障子を開けて外を見ていますと、雀が一羽、裏の韮畠(にらばたけ)に来て、しきりに韮の葉を食べていました。どういうわけだろうと思って毎日気を付けていたところが、そのうちに雀のお尻から、韮の葉にくるまって小さな針の折れが落ちたそうです。これは韮の葉を食べれば針が出ることを、神様が雀に教えさせて下さったのではないかと思って、試みに自分も韮を沢山食べて見ますと、果して針が出てしまって、痛みがすっかりなくなりました。それで喜んでお社を建てたのが雀の宮で、今でもあの辺の停車場の名になって残っています。2018.10.15