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2019.3.3  高座3 
ギックリ腰(3)

 いわくつきの杖の話で御座いますが、公園でボール投げをしている時に、辛夷(コブシ)についた害虫駆除の枝払いがあり、その中に丁度踊り場に引っかかっているボールを手繰り寄せるのに格好な枝ぶりの1本が見つかりまして、これは重宝だとこっそりと頂くことにしました。この枝ぶりが何とも言えぬ味がありまして、真っ直ぐな部分が80cm余り、そこから枝に分かれるくの字(鉤型)の杖の取っ手(把手)になる部分が20cm余り太さも直径2㎝余りと見た目にも杖になる姿をしていたのでございます。
 把手の鉤型の部分が2mほど先のボールに触れれば手元に手繰り寄せることができ、崖によじ登らないで済み手間が省けるようになったという次第で御座います。
 枯れ枝をむき出しで持ち歩くのも余り好い様ではありませので、DIYの店に行き小道具を調達し、日曜大工でこれを確りした杖に加工しました。先ず虫の喰った穴を焼いて害虫を駆除したところ結構小さな虫が出てまいりました。「だから枝払いするんだ」などと妙なところで感心いたしたものです。無垢の味を出した方が白木ですので面白いかとも思いましたが、結局黒い紙テープを軸の部分に巻き、把手の部分には野球のバットのグリップに巻くようなテープを巻きました。仕上げは石突きのゴムをねじ込んで作り上げた、というのが自作杖完成の顛末で御座います。
 それがおよそ20年後の今、私の足となり再び活躍の場を得たということで。こんな形で役立つとは思いもしませんでした。
ぎっくり腰の方は相変わらずで、一向に快方に向かう兆しが見られません。今も蒲団の上に小テーブルを置きパソコンを載せて、このコラムを綴っている有様ですので、前回執筆時と3日経っても状況は変わらないものとお汲み取り頂けるものと存じ上げます。
 どうも患っている話は暗くていけません。体験談としてもう少し明るい話として、私が定年後に始め15年間続けたソフトボールについてのあれこれを次回紹介させて頂きたいと存じます。

2019.3.7  高座4
ソフトボール(1)
 今回のお題はソフトボールで御座います。
 野球と同じじゃないかとお思いでしょうが、それは大違いで御座いまして、打つ、捕るは同じように見えますが実は別物のスポーツなので御座います。  ちょっと野球と比べて見ることにしましょう。
 先ずグランド広さが狭くてマウンドの必要がないので、小学校の運動場で十分プレーできます、広さの決まりは、女子が67.06m以上、男子が76.20m以上が国際的基準となっております。公式野球ではレフト・ライトフェンスまでの距離が90〜100m、バックスクリーンまでは120m前後でありますから比べると随分と狭いんですね。
 それはボールの質が全然違うからなんです。一般に3号球と呼ばれるものを使いますが、重さが190g前後で、大きさは12インチ(30.48cm)と決まっていて、テレビで放映される女子ソフトボール大会でよく見かける革の部分が黄色で縫い目の部分が赤色のイエローボールが今主流になっています。
 私たちのような草ソフトボールの場合は合成皮革の白や黄色の値段が安いものを使っています。野球の公式球では重さは141.7-148.8g、ボールの周囲は22.9-23.5cmですから、飛球が全く違うということになるわけで御座います。
 その代わり塁間の距離とピッチャーの投球距離が狭もう御座います。塁間は18.29m、投捕間の距離は男子14.02m、女子13.11mでありまして、野球の塁間27.431m、投捕間の距離18.44mでありますので、如何にも狭い感じがいたします。そのため危険防止のために細かいルールが決められております。
 投手は下手投げ(手と手首が必ず体側線を通過しながら球を離さなければならない)でなければならないこと。危険防止のため打者・打者走者・走者・捕手および次打者席の次打者はヘルメットを着用すること、バットは折れにくい金属製が主流で86.4cm以内、重さは1077g以内でバットのグリップエンドから25.4~38.1cmの範囲で滑り止めのテープを巻くこと。守備者と打者走者の接触事故を防ぐため、一塁にダブルべースを置く(38.1×76.2cmの大きさで、白色の部分『白色ベース』をフェアゾーンに、オレンジ色の部分「オレンジベース」をファウルゾーンに固定する)こと。
 打者走者はオレンジベースを走り抜け、守備者は白色ベースを使用することによって、一塁での打者走者と守備者の接触する危険を回避できるなどなど、野球とは異なる決めごとが多くあるので御座います。
 噺が決め事ですので、少々固くなったようです。次回は実際のプレーの面白さについて語らせていただきます。

2019.3.10 高座5
ソフトボール(2)

 堅苦しい話は終わりまして、いよいよ実践のプレーについて見てまいりましょう。
 ソフトボールは何と言ってもピッチャー次第で御座います。毎年地区予選が行われますが、ピッチャーなかでもエースが良くなければ、先ず勝ち残ることはできません。ピッチャーは上野選手を見れば分かるように緩急自在にコントロール良く投げなければなりません。彼女の場合ストレートは120km/時と言われましたから野球でいえば160kmを超えるという速さです。その上カーブ、スプリット(落ちる球)、チェンジアップ(球速が急に変化する球)、下手投げ特有の浮き上がるライズボールなどを巧みに操っていました。
 男子の場合は投球距離が1mほど長いので、いいピッチャーでも結構打たれます。打たれると申しましても打者で最も必要な技術はバントです。もし一塁にランナーが出た時には4番でもバントです。何故バントかと申しますと、球が打ちにくいということもありますが、盗塁ができないようなルールがあるからです。ランナーはピッチャーの手からボールが離れるまで離塁できません。早目に離塁するとアウトが宣告されます。そこでランナーを進塁させるためには、どうしてもバントが必要になるわけです。状況次第では2アウト三塁までバント攻撃します。更にスクイズと言ったバントで得点するというバントづくめの作戦も見ることができます。
 それでも、、どのチームにも何人かは強打者がいます。強打者とは選球眼が良くて甘い球を見逃さない選手です。ボールが硬球並みに固いので当たれば遠くに飛びます。草ソフトの場合外野の距離は打ち放しで囲いは無く、70m飛ばしても本塁打になるとは限りません。好打者には相手の外野が深く守るからです。野手の間を抜ければゴロでもランニングホームランになるし、外野手がエラーすれば殆どホームランになってしましますので。結局守備のまずいチームは勝てません。
 試合は7回までで、時間制で場合によっては5回で打ち切る場合があるのが草ソフトらしいところで御座います。ソフトボールというと乱打戦をイメージされる方も多いでしょうが、先に紹介したように1点を争う勝負が非常に多ございまして、プレーしている本人たちはアドレナリンが出放しというところが、のめり込んでいくスポーツなんでしょうね。これでソフトボール結構味わいのあるスポーツであることがご理解いただけたでしょうか。それではお後がよろしいようで。

2019.3.14 高座6 
ディール

 最近妙に個性が強い、もっと言えば横暴な国の指導者が現れて世の中を引っ掻き回しているようで御座います。一つ例を上げますと、日程も場所も決まり、シャンシャンと手打ちできる会談だったかに誰もが見ていたものが、首脳会談につきものの合意文書作成の直前に、お互いガチンコの勝負を始めて、結果話は決裂。気の短い何をするか分からない大統領がちゃぶ台返しをして、さっさと国に帰ってしまいました。
 首脳会談というものはトランプでいえば「神経衰弱」のような方法で、閣僚クラスがそれぞれ合意したカードを順番に積み重ねていくゲームでありまして、最後の方に僅かに残されたカードを引き合うまでに煮詰めておいた上で、首脳は会談に臨むわけですから、双方が形ばかりのゲームをして「めでたしめでたし」と収まる筈なんですが、実際には基礎的な外交交渉が固まらない内に両者をぶつけてしまったと言うのが本当の所であったようで御座います。
 そうなりますと冒頭お話ししたように、経験の浅い若い方の暴君と一方の負けず嫌いなわがままな大統領とのガチンコ対決になってしまいました。結果は先刻ご承知のように、気の短い大統領がちゃぶ台返しという思いもよらない行動に出たわけで御座います。交渉事は双方が痛み分けをするところに成り立つもので、わがままを通してはいけません。
 かの大統領は元々不動産屋ですから、政治も商いの取引と同じだと考えている節が見えます。自らも外交はディールと言ってはばからず、これはカジノの ディーラーがカードを配ることで、親と子が取引をするゲームからきている言葉で御座います。
 今どき国境に壁を作るといった、秦の始皇帝にも似たことをやらかす御仁ですから、自分の腹の中で決めた事は必ずやり遂げないと気が済みません。外交はパワーゲームだと信じ込んでおりますから、自分の分が悪ければゲームをおじゃんにすることなど朝飯前の話なのかもしれません。
 このゲームいろんな面で衆人環視の中にありますから、これから先どう落ち着きますやら、世界一の大国と世界一の最貧国がガプリ四つというのも変な話で御座いますが、世の中変なことが横行する時代に入ったと言うお粗末な一席で御座いました。

2019.3.18 高座7
根回し(ロビー活動)

 前回のお話でも少し触れた、外交には下打ち合わせが不可欠だということ、これを一般的には根回しと申します。今回はこの聞きなれた行いをお題といたしましょう。
 交渉事の根回しは国の政治から小企業の契約に至るまで幅広く行われているもので御座います。多分ロビー活動という言葉を聞いた覚えがあると存じますが、これなどは諸外国では当たり前に行われている根回しの場でありまして、何故ロビー活動というのか、その出所を探って見ますと、アメリカの18代大統領(1869年~1877年)に遡ります。とてもヘビースモーカーの大統領でありましたが、ホワイトハウスでの喫煙を妻に禁止されておりまして、そこで付近に存在するウィラード・ホテルのロビーで葉巻を楽しんでいたということです。彼がしばしばこの場所に出没することを知った関係者は、ニコチンの助けを借りて上機嫌な大統領への陳情をこのロビーで行うようになったという。これがロビー活動の語源だと言われます。
 このような次第で、その実態は政治活動に限定され、なおかつロビーイストとして登録されている必要があるそうで、企業はその人たちを雇って政府に働きかけて、場合によっては献金もいたします。魚心あれば水心で汚職に発展するような際どい活動が行われているので御座います。
 そうしたことから日本ではイメージがよろしくないようで表立っては行われていません。そのことが諸外国との交渉事で後れを取っていると言われております。
 一方、根回しと申しますと、元は「樹木の植え替え後の活着を容易にするため,1~2年前に行なう細根の発生を促す処置をさす園芸用語」からくるとありまして、それが事を行う前に関係者に意図・事情などを説明し、ある程度までの了解を得ておくことの意味合いに転じたわけで御座います。従ってロビー活動と同じで御座います。ただその役割を果たすのはロビーイストのように公認されたプロとは違います。
 日本では政府の役人がその任についております。よく「お役所仕事」と陰口が囁かれるように柔軟性がなく、根回しをするには向いておらず、勝つ勝負に負けてしまうことも多々御座います。
 グローバルな活動が広がる中、日本でも、特に日米間での交渉事にはロビーイストのようなプロを養成しておく必要があるという声も聞こえてまいります。次回の高座はガラッと変えて「オープン戦今年も野球漬け」を語らせて頂きます。

2019.3.22 高座8 
今年も野球漬け

 春の序曲は私にとってプロ野球オープン戦を見ることで御座います。冬眠明けのような眩しいグランドが眼前に展開して息を吹き返しております。
 ベイスターズの本拠地ハマスタは内外野の拡張工事の一段階が終わり、この記事を書いております試合には、オープン戦にもかかわらず3万人近い観衆が詰めかけました。昨年に比べ内外野の景観が一変し、どっしりしていかにも、プロ野球のスタジアムらしい風情を感じさせます。2020東京オリンピックの正式種目として採用された野球およびソフトボールの主会場になる準備が着々と進んでいると実感したところであります。
 私はもともとベイスターズファンですから、本拠地の試合は全部観戦するつもりでおります。アウェイも含めた全試合は、インターネットでみるかテレビ放映に頼るしかないので全部みれるかは保証されていないのが気になっております。
 いずれにせよ今年もこれから半年余り野球観戦漬けの日々を過ごしていくことは間違いないことで御座います。毎年毎年飽きもせず野球を見続ける野球の魅力はどこにあるのでしょうか、自分の視点で探って見ることにいたしまショウ。
 野球の魅力はそのチームの選手が生み出すもので御座います。そういった見方で今行われているオープン戦を見ますと、ベンチに入った野手全員が入れ代わり立ち代わり出場することで、一人一人の仕上がり状態をつぶさに観察できるのが魅力なんです。
 選手のプレーは昨年の状態と比べてどうなのか、オープン戦をみていても感じ取ることができるもんです。中には本番になってやっと力を出す選手もいますが、コンデションの良し悪しは実戦を見ればすぐに分かります。したがって今年どの選手が活躍するかを見分けていくのもオープン戦ならではの楽しみ方と申せましょう。
 これがペナントレースに入りますと、オープン戦のようにやたらと選手の入れ替えはできるもんじゃありません。今のうちは監督、コーチが実戦での選手の出来不出来を判断する場ですから、できるだけ多くの選手を出場させますが、本番ではそうはいきません。そこんところが監督以下スタッフの力量が問われるとこなんですね。
 さて今年のベイはどうなりますことやら、わくわくいたしますね。

2019.3.26 桜前線
 今回から高座をおりて従来の文体で表示していくことにする。
 外の桜が少し花開いた。見頃は来週末あたりか。桜前線とはソメイヨシノが南の方から徐々に北上することという。日本気象協会の開花予想によると「全国的に平年より早い予想で、平年より2日から9日ほど早く開花するところが多くなる見込。この冬は、観測史上最高気温を更新した地域があったように、気温が平年よりもかなり高くなった。こうした影響もあり、全国的に桜の開花が早くなると予想される」としている。
 横浜では21日に最初の開花が見られた。この現象を桜の休眠明けと呼ぶようだ。これを詳しく説明すると(以下wikipediaによる)「桜は、夏頃に翌春咲く花のもととなる花芽を形成し休眠に入る。花芽は冬の低温に一定期間さらされると休眠から覚める(休眠打破)。花芽は休眠打破のあと温度の上昇とともに生長し開花する。桜(ソメイヨシノ)の開花から満開(80%以上が咲いた状態)までの日数は、九州から東海・関東地方では約7日、北陸・東北地方では約5日、北海道地方では約4日で北上するほど短くなる。 桜の開花期間は、満開から一週間程度で花が散る」のだそうである。
 日本で桜の開花が大きな関心事になっているのには訳がある。桜は穀物の神が宿るとも、稲作神事に関連していたともされ、農業にとり昔から非常に大切なものであった。また、桜の開花は、他の自然現象と並び、農業開始の指標とされたからである。
 今でこそ「花」と言えばサクラ(桜)が連想されるが、奈良時代には和歌に出てくる花と言えばウメ(梅)であった。万葉集においては梅の歌118首に対し桜の歌は44首に過ぎなかった。
 平安時代初期に編纂された古今和歌集仮名序にある、平安時代の歌人である紀友則の歌「ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花ぞ散るらむ」の「花」は桜である。
 このように平安時代には多くの歌人が桜をモチーフにした歌を残しているが、かの有名な西行法師は「願はくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ」の歌は有名である。西行はこの歌に詠んだ通り、旧暦二月十六日に入寂したとされる。
 私が紹介した北斎の絵でも、20品川御殿山ノ不二 52隅田の不二 「雪月花」吉野(花)と富士を背景とした桜の絵を紹介しているが、大体が川沿いに植えられている。これは桜が江戸時代には河川の整備に伴って、護岸と美観の維持のために植えられたことを物語っている。今の時代でも桜並木が川沿いに多いのはその名残である。
 私も足の状態さえよければ、満開の桜を見物したいのだが、どうなることやら。

2019.3.30 俗人
 禅を理解するために多くの解説書を参考にして、ガイドブックのようなものをこのHPで紹介してきた(Write2018のサイトマップ「エッセイ」要約『現成公案』(道元)まとめ(2018.3.8)。
 ここで道元は悟りについて、次のように語っている「世界は今あるがまま、そのままの存在である。自ら世界をあるがままに認識できたとき、それがすなわち悟りである」としている。そう認識するためにはひたすら坐禅を組めとも言っている。
 禅の基本は坐禅にあるが、残念ながら私は神経痛のためにそれは叶わない。瞑想するには最も楽な姿勢でしてもいいだろうから、寝転ばって心を空っぽにしようと努める。3分もしないうちに色々なシーンがあふれ出て、瞑想には入れない。道元禅においては、すべては「無」すなわち全存在を否定して、悟りの境地に達することができるとされている。全存在を否定するなんて、どだい無理なことである。
 こうしてパソコンに向かって入力していることイコール考えを表現しているわけだから、無の境地であるわけがない。今も禅の研究は続けているが混迷は深まるばかりだ。
 自分自身もいつか人生の終着駅に辿り着くのは人並みに理解している。ただそこまでの道筋で自分の成すべきことは「何か」ということで禅を研究し始めた。
 何故「禅」なのか同じ大乗仏教に端を発する仏教は数多くあり、「南無阿弥陀仏」と唱える浄土宗・浄土真宗や「南無妙法蓮華経」と唱える日蓮宗のように、その言葉を毎日繰り返し唱えればどんな人でも救済されるという分かり易い道もあるが、これらはどうも今一つ私には合点がいかない。どうもこういう話はややこしく考えるのが私の悪い癖で、だいぶ前にこのややこしい「禅」という道を選んだ。 
 そこで最初に書いたように、寝転ばって瞑想に入るのだが、邪念が入るか、寝込んでしまうかで「悟り」の道は遠くはるかに、その影さえ見ることはできない。
 俗人はどうあがいてみたところで俗人の域を出ることは難しいと実感している。この話またする機会があるかも知れない。