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これから話す物語は明治の文豪正岡子規が、青年時代から書き始め25年間も書き綴った随筆を、勝手に現代風に変えて読んでもらおうという不遜な試みである。

 筆まかせ抄現代訳 第一話 比較

 世の中に比較というほど明瞭なものは無いし、愉快なものは無い。例えば世の中の統治を語る時、乱国の世を例にとればよく分かるし、三傑で知られる織田・豊臣・徳川を「時鳥(ほととぎす)の俳句で比較したものなどは、面白い上にその性質を表すのに、一人一人が明瞭に浮かび上がってくるものだ。
 しかし、このように自分と他人を比べることは、中々才能がないとうまくいかないもので、例えば同じ題材で他人と同じように詩を書くとすると、他人の詩の方が良い場合が多い。であるからして、他人と比べることは自分の為になることは殆ど無い。
 学校で生徒たちにあるテーマで詩とか文章を書かせると、みんな「千思万考」して仕上げた上で、これを他人の上手い文章と比べさせると別の考えが一杯あることに気が付く。こういう時は自分の知恵が一瞬にして向上したという気持ちになる。
 そういうことだから、学校などは出来のいい文章を生徒に読み聞かせることがベストな教育法なのだ。ところが天下ひろしといえど、この教育法を用いる者は少ない。2019.1.1

 

 

 

 

 

 

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