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これから話す物語は明治の文豪正岡子規が、青年時代から書き始め25年間も書き綴った随筆を、勝手に現代風に変えて読んでもらおうという不遜な試みである。

 筆まかせ抄現代訳 第十二話 世界と日本、日本と四国

 
 日本人は色々な人種の中では最も敏捷で、成熟した民族である。真似するのが上手く、創造性には欠けている。
 若い時は西洋の赤ひげなんぞに引けは取らないという意気込みで、勇気勃勃(ボツボツ:*物事が勢いよくわき起こるさま)して、直ぐに技術を習得し、ある程度事業を成功さすのだが、小さな成功に甘んじて進歩することがない。こんな状況だから警察事務のようなちょっとした能力と、素早やい行動を必要とすることにはとても適していると言われている。
 四国の人(少なくとも我が松山の人間で伊予の人間ではない)が日本全国においてどう位置づけられるかは、丁度日本が世界に対するようなものである。松山人は(*冒頭述べたように)なかなか機敏で、特に真似ることが巧みであることは、古来より四国猿の名があるとこらからも感じ取れることなのである。学校に通っている間はかなり成績を上げるのだが、卒業してしまえば小さな成功に甘んじて、一旦挫折してしまえば、直ぐに仕事を止めてしまう。
 それだから大成功する者や世間に名を上げる者は出てこない。ところが警察事務のように、すなわち巡査であっても階級社会で出世する者は一人も出ない。だから平の巡査でいる者は多く、東京を除いては他府県に比類なき存在だという。まことに奇妙なことだ。2019.3.24



 

 

 

 

 

 

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