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これから話す物語は明治の文豪正岡子規が、青年時代から書き始め25年間も書き綴った随筆を、勝手に現代風に変えて読んでもらおうという不遜な試みである。

 筆まかせ抄現代訳  第六話 寄席


 小生このところ井林氏と一緒に寄席を楽しむためによく出かける。寄席は白梅亭か立花亭が馴染みである。と言っても懐具合が思わしくないことが多い。そこで(金持ちの友人である)松木氏や豊島氏のところに行っては金を貸してもらい、これでもって「イラッシャイ」の声に誘われて門口をくぐることが、実はしばしばなのだが、この金を金主に返したことなどありはしない。そのため彼らからは「ひどい奴だ」と疎まれている。
 また人(金主)をして我らの「道楽」を叶えさせてくれることも、そう度々できるものではないので、時としては井林氏が着物を質に入れて、その金で(木戸賃を払い)「落語を聞いて笑いを買う」ということもあった。それほどの思いをして落語に通ったものだ。2019.2.9

 


 

 

 

 

 

 

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