homewatchimagepaint2017pre

 入院日誌(2)


 今回は病院で働く人たちにスポットを当てて書いてみたい。
 病院という組織は医師を筆頭に看護師・介護士・理学療養士・労務従事者さらに事務方で構成されている。私の印象では、医師たちは「白い巨塔」のような院長回診の物々しさは影もない。主治医がサンダルをパタパタと鳴らして巡回するだけで、研修医が付いてくることなどもない。そもそも研修医などいないのかもしれない。診察に始まり手術、術後の回診すべて一人で行う。患者の身の回りの世話は看護師の仕事で、実にきめ細かく優しく、アットホームな感じで、辛い病室生活を明るいものにしてくれていた。まさに「白衣の天使」と言う名に相応しい存在だといえよう。
 彼女たちの仕事は実に幅広く、術後のあらゆる手当てを担っていた。毎日に繰り返される血圧測定、血糖値測定、体温測定などはその場でパソコンに入力して管理する。当初体中に繋がれていた管も彼女たちが管理する。医者の指示を受けて順番に外していくのも看護師がする。私が感ずるに病院の中核を成すのは看護師だといえよう。
 特にこの病院の場合、看護師教育がいいと言おうか、伝統的に躾が引き継がれているのか、誰も暖かく、事務的に流れることがない。患者個人に合わせて対応する。これはそれぞれが違う性格を持つ患者たちに適応させるのだから大変な仕事だと思う。私は4人部屋で3人の患者がいたが、軽口をたたいたりして和気あいあいといった雰囲気に包まれていた。今まで何回か入院したがこれほど快適な生活をしたことはなかった。今更ながら看護師の大切さを再認識したものであった。
 看護師の勤務シフトは昼間と夜の二部制で、昼間は若い女性、夜間は中年の女性と言ったように色分けされており、感じとしては夜間は昼間の5分の1程度の人数で対応しているように見えた。
 躰から管が抜けるとリハビリを指導する理学療法士の出番である。私の場合は退院までの4日間お世話になったが、主に立ったり、座ったり、寝たりの姿勢のあり方を細かく指導された。3日目には指導の甲斐があって、実際外に出て近くの道を杖をついて約1000歩ほど歩くまでになっていた。
 他には細かい雑事をするおばさん達には気軽に話しかけられ(不思議とみな私の名前をしっていた)一人で歩けるようになると、洗面をするようになったが、髭剃りの道具をいつも用意してもらった。髭剃りのカミソリは刃物なので、その場で使い捨てにせず、洗顔後回収するという管理体制もよくできているようで、彼女たちの動き一つ一つに無駄がなく、そんな面にも驚かされた。
 これからも診療に通うが、入院病棟とは違う階にあり再び会う機会もないかも知れないが、とても好印象な入院生活を送ることができた。(完)


Copyright 2013 Papa's Pocket All Right Reserved.