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   絵物語 復刻版 富嶽三十六景の三

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武陽佃嶌(ぶようつくだしま)
現在も下町風情が残る佃島ですが、もともとは江戸時代に
大阪の佃村という所から漁師が砂州を埋め立てて移り住んだ
場所でした。
故郷にちなんで、佃島と名付けられたのです。佃煮はもと
もとこの周辺で採れた海産物を使った煮物の呼称でした。
本図では、そんな佃島に住む漁師たちと、彼らが住んでいた
佃島から望む富士山が描かれています

 

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上總ノ海路(かすさのかいじ)
この図絵の舞台は現在の千葉県富津市の浦賀水道。三浦半島
と房総半島に挟まれた海峡です。江戸時代、この辺りは海運
で賑わっていました。弁才船という荷物運搬船が中心にどっ
しりと描かれています。北斎は風景画にも人物を描くことで
有名ですが、この絵には見当たりません。しかし、よく観察
すると、船の窓に船中で作業する人の姿を見つけるこレ」がで
きます。この絵でもう一つ注目すべき点かあります。それは
水平線の描写です。当時の浮世絵では、水平線を真っ直ぐ描
くことが多かったのですが、この絵では湾曲して描かれてい
ます。北斎は地球の丸さを表現していたのです。このような
リアルな表現は、並外れた観察眼を持っていた北斎ならでは
のものです。

 

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「登戸浦(のぼとのうら)
登戸浦は現在の千葉市にあたります。この辺りの海は遠浅で、
潮干狩りをするにはうってつけの場所として知られていまし
たこの図絵にも、潮干狩りに勤しむ人々か活き活きと描か
れています。無邪気にじゃれあう子供たらの様子も愛らしい

 

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常州牛掘(じようしゅううしぼり)
常州牛堀は現在の茨城県潮来市あたりです当時は富士山を
眺望する景勝地としても知られていた霞ヶ浦。そこに浮かぶ
船が大きく印象的に描かれています。船から米のとぎ汁を捨
てる人、また左の方には白鷺が飛び立っ様子が描かれ、色彩
を抑えた画面と相まって、凍えそうな冬の朝の様子がひしひ
しと伝わってきます

 

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神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)
浮世絵、と聞けばこの絵を思い浮かべる人が多いほど有名な
作品です静と動が渾然一体となったダイナミックな構図、
巨大な波が押し寄せる瞬間をとらえた迫力、荒れ狂う海で船
を必死に漕ぐ人々、そして、波間にどっしりとたたずむ富士
山の雄壮な姿:
まさに傑作中の傑作、ベスト・オプ・浮 世絵と呼ぶにふさ
わしい作品です。世界中のアーティストに 多大な影響を与
えたのもうなすける完成度の高さです。舞台 は現在の横浜
本牧沖です

 

 

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武州玉川(ぶしゅうたまがわ)
遠景に富士山、真ん中の川に渡し船、手前に馬子と荷物を載
せた馬。一見するとシンプルな図絵に見えます。しかし、
単純なように見えて実は計算され尽くした構図で描かれてい
ます。近景と遠景の絶妙なバランスは見事というほかありま
せん。北斎だからこそ描けた構図なのです。さらに川面の表
現にもこだわりが見て取れます。川面がゆれて波打ち、白く
輝いている様子が濃淡で丁寧に表現されているのです。派手
さはありませんが、シンプルでいて奥が深い逸品です。玉川
とは現在の多摩川のことで、六郷の渡しがあったあたりです。

   
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東海道程ヶ谷(とうかいとうはどがや)
舞台は東海道の宿場街としても有名な保土ヶ谷です。東海道
を旅する人々が、松並木の間から見える初夏の富士山ととも
に活き活きと描かれています。籠かき人夫が屈み込んで鼻緒
を修繕する様子が描かれていたりと、北斎ならではの細かい
人物描写も健在です。この作品はフランスの印象派画家のモ
ネにも影響を与えました。モネの名作「ホプラ並木」はこの
作品の松を参考にしたといわれています


   
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相洲七里濱(そうしゅうしちりかはま)
藍色の濃淡だけで描かれた見事な風景画です。場所は現在の
稲村ヶ崎あたりで、相模湾から望む夏の富士山を描いていま
す。藍色の空にもくもくと立ちのぼる人道雲、浜に打ち寄せ
る波も線で細かく描写しています


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相州江の嶌(そうしゅうえのしま)
片瀬浜から見た江ノ島と春の富士山を描いた作品です。江ノ
島には茶屋や民家、そして春の息吹を感じさせる緑の木々の
中に江ノ島弁天の三重塔が顔を出しています。当時は干潮時
に浜と江ノ.島は陸続きになり、歩いて渡ることができました。
この図絵でも徒歩で江ノ島へ向かう人々が描かれています。

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相州仲原(そうしゅうなかはら)
相州仲原は現在の平塚市にあたります遠景に裾野まで見わ
たせる富士山の雄壮な姿が描かれています。その手前に描か
れている山は火山で、江戸時代には神仏習合の霊場として庶
民に人気のスポットでした。仲原は大山に向かう人でも賑わ
いを見せました。この作品にも大山詣に向かう人が描かれて
います。手前に流れる川のほとりには大山寺の本尊の不動明
王の石仏も祀られています。周辺に暮らす人々の日常生活の
様子が感じられる作品です

 

29hakone 諸人登山
富士山の山開きは六月一日です。
男たちは、ようやく富士山頂にたどり着き、あるいは
右に描かれていますように、岩にしがみついて最後の
ひと踏ん張りに懸命です。
左には、頂上に登ってすべての力を使い果たし疲れ切
って腰を下ろす人たち、右には岩室の中に無言で身を
寄せ合う富士講の人々。
しらみはじめた空に朝焼けの雲がたなびいています。
御来光はまもなくのようです。
   
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相州箱根湖水図(そうしゅうはこねこすいす)
江戸から箱根を越え、芦ノ湖の手前にたどりついた地点から
望む富士山の姿が描かれています。芦ノ湖の静かなたたすま
湖のほとりには箱根神社の森が見えます。富士山の手前
に配置されているのは駒ヶ岳です。人物も描かれておらす、
静寂な印象を受ける作品です

   
   


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