homewatch imagepaint2017pre

   絵物語 復刻版 富嶽三十六景の四

01gaihuhkaisei

30相州梅澤庄(そうしゅううめざわのしよう)
押切川のほとりから富士山を眺めることかできました。ここ
に描かれている富士山は新春の夜明け前の姿です。手前には
丹頂鶴の群れも描かれ、お正月らしいめでたい作品です。夜
明け前の薄暗い様を藍色の染料で表現しています。朝陽が当
たって薄紅色に染まった雲が作品のアクセントになり、美し
い作品に仕上いっています。

 

sankahakuu

31甲州三嶌越(こうしゅうみしまごえ)
現在の静岡県と山梨県の境にある籠坂峠あたりが三島越で
す。まず目を奪われるのが中心に大きく描かれた一本の木で
す。画面全体をニつに分ける様に配置されています。この一
の大木がこの作品に絶妙なバランスをもたらしています。
北斎の持味はこのような大胆な構図のセンスだけではあり
ません。夏雲のデザインセンスにも注目です。

 

kaisei\/no_fuji

32駿州片倉茶園ノ不ニ(すんしゅうかたくらちゃえんのふじ)
静岡の茶畑が舞台の作品です。遠くに見える富士山にはまだ
残雪があります。茶畑にはそれぞれの持ち場で作業する人々
が活き活きと描かれています。こういった労働する庶民の描
写は北斎の得意とするとことです。

 

yuhdati_no_fuji

33駿州大野新田(すんしゅうおおのしんでん)
大野新田は現在の静岡県吉原市あたりです。沼が多い地域で、
その風土的特徴が見事に描かれています。沼地の先には早朝
の富士山がそびえています。右側の雲が赤く染められ、東の
空から太陽が昇っている様に表現されています。手前に描か
れている荷を積んだ牛と歩く人々にも注目です。芦を大量に
積まれた牛が、荷の重さに耐えながら歩いている様子がリア
ルに描かれています。

 

fuji_syutugen 

34駿州江尻(すんしゅうえじり)
江尻とは、現在の静岡県清水市にあたります。この作品は北
斎の非凡な才能が存分に発揮されたもので、イギリスの写真
家ジェフウォールに影響を与えたことで世界的に有名になり
ました。線だけで描かれたシンプルな富士山の姿と対比する
様に、街道を歩く人々に風が吹き付け、紙や笠が高く舞い上
がる様子がダイナミックに描かれています。大自然の中に悠
然とそびえる富士山に比べ、たった一陣の風に翻弄される人
々の存在のなんてちっぽけなことでしよう。風に揺れる草木
や衣服の描画も見事で、臨場感あふれる傑作です。

akatuki_no_fuji

 

35東海道江尻田子の浦略圖(とうかいどうえじりたごのうら
りやくず)
東海道吉原宿の沖合から見た、雪の残る富士の姿を描かれて
います。田子の浦は富士山の絶景スポットとして古くから有
名で、万葉集にも詠われています。近景の漁船を漕ぐ人々の
様子が細かく描かれています。遠景の浜は塩田で、そこで作
業する人々も小さいながらも丁寧に描かれています。

   
murasame_no_fuji

36東海道金谷ノ不ニ(とうかいとうかなやのふじ)
この作品の舞台になっている金谷は東海の宿場です。現在
の静岡県島田市あたりで、大井川の西岸に位置しています。
大井川は江戸時代、東海道一の難所といわれていました。橋
が架かっていなかったからです。東海道を旅する人は、大井
の渡しにお金を払って川を渡してもらわなければなりません
でした。この図絵にも客を担いで川を渡る人足が描かれてい
ます。大勢の人が渡っているため、川面が大きく波打ってい
ます。この揺れる水面の表現も秀逸です。


   
miyuki_no_fuji

37遠江山中(とおとうみさんちゅう)
中央にまるで大砲のように置かれた巨大な材木がダイナミッ
クで印象的な作品です。材木の上には職人が登り、ノコギリ
で切っています。材木を支える台木と、その隙間から見える
富士山が三角形の構図を作り、幾何学的に整った印象を与え
ます。このような奇抜な構図は北斎ならではのものです。作
業場付近から立ら昇る煙にも細かい模様線が人れられるな
ど、手の込んだ描写がなされています。人々も活き活きと描
かれ、完成度の高い逸品です。


26enoshima

38東海道吉田(とうかいとうよしだ)
東海道吉田は現在の愛知県豊橋市にあたり、吉田城の城下町
として賑わっていた場所です。「不ニ見茶屋」という店の中
から見た富士山の様子が描かれています。旅の途中にゆっく
りと疲れを癒やしながら、旅人も富士山の美しい姿を眺めた
ことでしよう。
一休みを終え、再出発しようと準備をしている旅人や、店内
の絶景ホイントから富士を眺める女性、土間でわらじを修繕
する人足など、茶屋に集まる様々な人が活き活きと描かれて
います。

27nakahara

39尾州不ニ見原(びしゅうふじみがはら)
富士見原は現在の愛知県名古屋市の郊外にあります。この辺
りは遊郭などで栄えていました。中心の大きな樽の輪の中で
作業する桶職人、その頭上に小さく富士山が頭を出している
のが見えます。通称「桶屋の富士」とも呼ばれている図絵で
す。北斎は幾何学的な構図を多用していました。そんな北斎
の特長を最も良くあらわしているのもこの作品で、北斎の特
長をあらわす例として美術の教科書にもよく掲載されていま
す。

 

29hakone 40甲州犬目峠(こうしゅういぬめとうげ)
現在の山梨県上野原市あたりには犬目宿という甲洲街道の宿
場街がありました。そこから次の下鳥沢宿へ向かう途中にあ
ったのが犬目峠です。そこから望む富士山が描かれています。
なだらかな坂を登る旅人はとても小さく描かれ、近景の峠の
緑と遠景の三色刷の富士山の雄大さを引き立たせています。
春の季節感が良く表現された作品で、穏やかな時の流れも感
じさせます。
   
29hakone

41甲州三坂水面(こうしゅうみさかすいめん)
河口湖から見る富士山は大変美しく、現在も多くの観光客を
魅了しています。この図も河口湖の北側、三坂峠から望む富
士山を描いたものです。おだやかで、ゆったりとした時間の
流れを感じさせる夏の風景です。この作品には北斎の遊び心
が見て取れます。湖面に映る逆さ富士が雪をかぶった冬の富
士山になっているのです。


 
42izawa 42甲州伊沢暁(こうしゅういさわのあかっき)
甲州伊沢は現在の甲川街道、笛吹川の川岸にあった宿場街で、
現在の石和にあたります。早朝の情景を描いたもので、宿場
を出発する人々が紬かく描かれ、さらに朝霧の向こうには、
うっすらと赤く染まった空に薄暗い富士山の姿があり、とて
も幻想的な作品になっています


Copyright 2013 Papa's Pocket All Right Reserved.