日常細事2020


kiji

2020.11.10 言葉に関する章(10)
 今回は顔を構成する部分として、額、眉、目などに関する故事・諺・慣用句について探ってみた。
 よくひどく狭い土地のことを「猫の額」と表現するが、では猫の額とはどの部分を指すのか、さらに調査を進めると、眉毛と髪の毛の間の部分を額というのだそうだ。そもそも猫は体全体が毛に覆 われているから、実際は猫に正確な額という箇所はないという見解が出ている。そうした事情で猫の額とは、あるかないかハッキリしないくらい狭い場所という意味らしい。大体人間以外の動物に額はあるのかどうかも疑問がある。何故猫かと問われれば、猫と人間との付き合い(犬も同様だが)の度合いが非常に高いから、卑近な例として猫や犬は慣用句として使われることが多い。
 話が脱線しがちだが、次に進んで「額」の慣用句として、他に「額を集める」「額を合わせる」とか「額にしわを寄せる」などと言う言葉がある。諺としては「額に箭(や)は立つとも背(そびら)に箭は立たず」というのがあるが、辞書以外では見かけない戦国時代の諺のようで「額に矢を受けようとも背中に受けることはない。絶対に退却しないということ」の喩(たとえ)のようだ。
 大体格言などは歴史の中で生まれ伝承されるものだから、時代背景などを考慮しないと理解できないものも多い。
 次に「眉」に関する言葉に移すと「眉に唾をつける」「眉を顰める」「愁眉を開く」「眉一つ動かさない」などの例を挙げることができる。「愁眉(しゅうび)を開く」と言う慣用句は「心配がなくなって、ほっとした顔つきになる」と言う意味がある。
 昔「目は人間のマナコなり」という歌謡曲があって、目と言うとすぐその言葉が頭に浮かぶのだが、「目」に関する表現は、ずば抜けて多くweblio辞書では200余り上げている。そこで一例だけ上げる「目は心の窓」という名言がある。これはもともと英語に見られる諺で原文は「 The eyes are the window of the soul (or heart)」。この意味するところは「目はその人の心を映す鏡であって、目を見れば、その人の心が見える」とあり、人の言葉を借りると「これはけっこう奥深い言葉だ。目が笑っていれば、その人の心も笑っている。見えている世界も、自分に微笑んでくれているように見える」と、この辺が「目の付け所」がよろしいようで。次回は耳鼻咽喉科に属する言葉のあれこれを探ってみる。
[言葉に関する章へリンク]
 

この記事に関するご感想などを下記メールでお寄せください。comfree@papars.net
2013年の記事を閲覧するには日常細事のアイコンをクリックしてください。
©2013 papa's_pocket. All rights reserved.