2020.11.7 言葉に関する章(9)
今回から目を顔・面(つら)の方に向けて再検証してみる。
顔・面と言えば、「顔が広い」「面の皮が厚い」など成句や諺が多い部位である。早速それらにに焦点を当てて言葉遊びを続けることとしよう。
思いつくままに言葉を拾い出して行ってもかなりある。「いろはかるた」に出てくるのが「泣きっ面に蜂」「仏の顔も三度」「 蛙の面に水」でこれらは子供でも知っている。
一応解説すると「泣きっ面に蜂」とは、泣いている顔をさらに蜂が刺す。不運や不幸が重なることのたとえ。「仏の顔も三度(まで)」とは、慈悲深い仏様といえども、三度も顔を撫で回されたら腹を立てるということから転じて、どんなに温厚な人でも、何度も無礼なことをすれば怒り出すことのたとえ。「 蛙の面に水」とは、蛙は水をかけられても少しも嫌がらないことから。図々しい、太々しい人に対して、皮肉をこめて言うことが多い。
類語として「馬の耳に念仏」など喩は多くある。
さて、「面」に戻って少しばかり慣用句を紹介する。例えば、散々人に迷惑をかけて、逃げ出して、その後知らん顔で戻ってきた人に対して「どの面下げて」帰って来たんだ、などという。そういう人は大抵「面の皮が厚い」。そこで被害を被った人は、そいつの「面の皮を剥ぐ」。その結果そいつは「吠え面をかく」ことになる。と、ざっとこんなストーリーが出来上がる。
続いて「顔」の慣用句に移ると、「顔が広い(つきあいの範囲が広い)」というほど慣用句の数が多い。これもストーリー風に繋げていくと、クラス会に「顔を出す」と馴染の仲間が「顔を合わせる」ことになり、全員の「顔が揃う」。コロナのせいで、お互い「浮かぬ顔」だった。という風になる。
悪い意味での表現として、次のような慣用句がある。「顔が潰れる」「顔に泥を塗る」「顔向けができない」「合わせる顔がない」「顔色無し」「顔を汚す」などマイナスイメージの強い表現もある。
次回は顔の部分に移って成句や慣用句、諺などについて探ってみる。
[言葉に関する章へリンク]
この記事に関するご感想などを下記メールでお寄せください。comfree@papars.net
2013年の記事を閲覧するには日常細事のアイコンをクリックしてください。
©2013 papa's_pocket. All rights reserved.