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これから話す物語は明治の文豪正岡子規が、青年時代から書き始め25年間も書き綴った随筆を、勝手に現代風に変えて読んでもらおうという不遜な試みである。

  筆まかせ現代訳 第四十三話 小説の文体

 一昨年の夏、私は小説の文章について考えたことがある(*第28話~第30話)。今の日本に小説文の種類は沢山あって、そのどれを善とし、悪とするのがいいのだろうか。今同じことを異なる文体で書こうと試みようとして、その当時に書き出したものを次に掲げる。
 机に向かっていても書(ふみ*文面)を読んでいるようには見えない
 眼を書にそそぐもので、その瞳が動かないものは読むとは言えない
 視線は真っ直ぐに書物の上に向かっている。であるが眼球が上下しないものは文字を読んでいないことを明 確に示している
 書物をじっとながめている。身動きもしない、またたたきもしない。よくよく見ると目の玉はちっとも動い ていない。ハテナ(・・? これでは書物を読んでいることにはならない
 以上4種類のうち、どの文体がいいのかは人々の好みによって違うことである。諸君子(*皆さんは)はいづれを選択するだろうか。
2020.1.13

 

 

 

 

 

 

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