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   比較と選択


 今回のは話の市は「比較と選択」をテーマにして、過去のコラムをピックアップしてみた。
 この中で語られているキーワードからどう話が展開していくかは、書き手本人にもよく分からない。

2016.6.26 どちらを選ぶか
 英国のEU離脱に関する国民投票が行われた。これを書いている時点では離脱派が優勢で、ドル売り円買いが進み金融市場は上や下への大混乱だ(結果は離脱派勝利)。
 私は政治ネタを話題にするつもりはない。 人は誰でも、二者択一を迫られる時がある。そうした場合、何を基準にして自分の判断基準とするのだろうか。
 今回のケースを自分のこととして考えるなら、自分自身の利害得失という、かなり利己的要因が大きい判断材料となるだろう。
 こうした要因は、今回のEU離脱判断(個人の利害得失優先)にも大きく影響していると思う。もっとも自分が特定の政治団体などに属しているのなら、選択基準は組織の判断に従うだろうことは想像に難くない。
 「私の利害得失とは」と言えば、高齢者であるが故の物差しになる。年金に頼る生活者にとっては、福祉の向上が一番自分に恩恵があるので、そこが判断を決めるポイントになる。
 憲法問題とか日米安全保証など、国家の行く末を左右するであろう重大事項よりも先ずは足元の問題が優先する。
 人は意外と高所大所の視点で決断するのでなく、極めて個人的事情で判断する傾向が強いということだ。
 従って、その判断結果が先々国にとっては誤った方向に行くことになろうとも、その選択を責めるのは酷といえよう。
 人生長く生きていると、よくどっちかを選べと問われる局面に出会う。その結果が人生の分岐点であったりする場合だってあるのだ。 戻ることのできない道だけに、少し立ち止まって状況判断する先見性を身につけたいものだ。

2016.7.30  「お金」と「幸せ」を秤にかける
 人には欲しい物が一杯ある。物欲がある限りその飢えが満たされることはない。
 ここに面白い調査結果がある。リタイヤした団塊の世代(65歳以上)を対象に、「残りの人生に望むものは何か」と問うたところ、「お金」が6割強、「幸せ」は3割強という結果が出たそうだ。
 「金」という現実に見えるものと「幸せ」という心の問題を秤(はかり)にかけることには、多くの異論があることだろう。
 この結果を数字だけから推測すると、対象となった団塊の世代は、ひたすら働き続けるエコノミックアニマルとさえ呼ばれた、仕事一筋の半生を過ごしてきた世代だ。「お金」が人を豊かにすることが骨の髄まで浸み込んでいる世代である。それが家族の「幸せ」に繋がる。「幸せは金で買える」という論理が成り立つ。
 一方少数派となる「幸せ」の選択について考えると、測る尺度を変えないと、「金があれば老後は楽しく、安心して暮らせる」という論理を超える答えを見つけ出せない。
 人は老いれば必ず体が衰え、人の介護を受ける時が来る。金があれば最高の医療を受け、整備された介護施設への入居も可能だ。それでその人に「今幸せですか」と問えば、おそらく「否」という答えが帰ってくることだろう。もし、そうだとすると、それは人間は「物」ではないからだと思う。
 ここには常に欲しい「物」のために人生を費やしてきた結果、金で買えない「心」にしかないものがあるのに気が付かなくなってしまったのではと、私には思える。
 竹内まりやの「幸せのものさし」という歌の最終フレーズに「幸せの基準はかるものさし自分の心の中にあるの?足りないもの数えるくらいなら 足りてるもの数えてごらんよ!」という記述がある。
 幸せを測る物差しは個人個人の心の中にあり、外からは見えないものだ。
 私にとっての幸せはとは何だろう。その答えが「足りてるものを数えてみる」ことから引き出せるとしたなら、「金」より「幸せ」という答えが現実味を帯びるのだが・・・。

2016.8.23 比べる(1)
 人は何かにつけて比べるものだ。大きいとか小さいとか、広いとか狭いとか比較することである。
 比べる(較べる)とはどういうことかというと、AとBを比べるというように対象となるものがある。
例えば「値段、数、重さ、高さ、大きさ、腕前、能力、速さ、距離、性格、美しさ、音、性質、温度、気候、形、外見、特徴、優劣、色、味、栄養分、におい、時間、安全性、サービス、効率、生産高、成績、筆跡、表現、環境」などが上げられる(研究社:日本語表現活用辞典から)。
 個々の項目で例示することは紙数(文字数)に限りがあるので、今回は大きさの使い分けについて取り上げてみた。
 大きさを最初に選んだのは、なぜ形の大小に関わらず「大福」と呼ぶのかという疑問に発している。そこで名前の由来を探っていくと「食べると腹がふくれるので、「はら ぶと餅」とも呼ばれた。のちに「腹太餅」を「大腹餅」に書換えられたが、大腹なら大福の方が縁起がよいということで「大福餅」となった」という説明に出会った。
 他にも「大」だけを使う表現がある。オリンピックも本日(22日)閉会式を迎えたが、テレビでは連日「大一番(おおいちばん)」という言葉が飛び交った。これなどは大事な一番の「大」を強調する意味合いが強い。どうやら「大」という文字は「比べる」ケースがあまり多くないようだ。上記比較用語一覧の中では「大きさや音など」ぐらいで、車などの大きさを表すのには、比較語の大中小が使われる。中でも「中」の使い方は曖昧で、音の場合などは、高音、中音、低音などとして分けている。大声と小声はあるが、中声はない。中は標準ということで敢えて「中」とは言わないのかもしれないが、これは注目に値する表現法だ。
 今回のテーマは「窮余の一策」とでも言える「比べる(比較)」に的を絞ったが、「話題が浮かばない時には小出しに使えるな」などとレパートリーが増へたことを勝手に喜んでいる。今回は第1回目なのでまだまだ続く。

 


 



 


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