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  身の回りに潜む危機(改訂版)


 折しも明日は東日本大震災(3.11)から6年目を迎える。各地で追悼行事が行われる。
 それに合わせるわけでもないが、かつて「今そこにある危機」と題して2015年5月15日から5回に分けてシリーズで紹介したコラムを編集加筆して紹介する。

1.世界は危機に直面している
 映画のタイトルではないが、私たちの周囲は危険に満ち溢れている。今回は危機と防災について何回かに分けて考えて見ることにする。
 最初は天変地異の危機について考える。日本はもともと火山・地震・津波といった天災では、世界有数の歴史のある地域なのは周知のとおりだ。
 天災の予測は難しく、火山などの兆候を調べて、警戒レベルを上げたりはするが、それで直ぐに噴火が起きるという訳ではなく、忘れかけるとドカンとくる。間違いないというような予測は立てられないから、結局災害が発生してからの対応が重要ということになる。災害の被害を最小限に食い止めるということが現実的対応となる。
 これは自然の恩恵を受けている国だけに、しっぺ返しのように天災が訪れる。古来より日本人はその両方を受け続けており、災害を甘んじて受けるという強い精神力を持っている。天の配剤に従順だということでもある。
 次は、現在(過去においても)でも人為的な危機と伝染病のような、国境のない危機が進行している事実に目を向けて見る。
 人為的危機とは言うまでもなく、宗教・民族・領土に関する衝突・紛争・戦争・テロの発生のことである。人類は有史以来こうした争いを止めたことは無い。今もどこかで多くの人が戦の中で危険な暮らしを続けている。こうした話は日常細事の論ずる範囲を逸脱しているが、どこにでもある危機について語るイントロと見ていただき、しばらくお付き合い願いたい。
 
2.ウィルスの脅威今そこにある危機(第2話)
 今回は飛来するウィルスの危機について考える。日本には存在しない病原菌に侵される危機は防ぎようがない。それは病原菌を運ぶ媒介者が、渡り鳥などのように、季節よって日本に飛来する鳥が持ってくるもので、鳥インフルエンザなどがよく知られている。こうしたウィルスは、変異しやすく鳥から鳥へ、そして鳥から人へと感染する。他の感染ルートとしては交通手段の進歩により、短時間で人が場所を移動することが可能になったことによる。世界中に病原菌に汚染されている地域は多く存在する。そこに旅行した人が感染して、帰国し発病するケースで、これは移動の過程で多くの人にも感染する可能性が高いので始末に悪い。感染から発病まで潜伏期間というのがあるのも感染を広げる原因となる。
 今韓国を脅威に陥れているMARSコロナウィルスは、その典型例である。対処法が見つかっていないこと、死亡率が高いことなどが、恐怖を更に高めることに拍車をかける。毎日ニュースで報道しているが、飛沫感染といわれているが、医療関係者ですら感染してしまうという危険なウィルスである。
 ソウルからプサンへと飛び火しているのを見ても対岸の火事では済まされない。こうした危機はいつでも迫ってくる。ワクチンが開発されているものについては予防対策がとれるが、インフルエンザなどでも毎年院内感染で多くの年寄りが亡くなっている。それだけ目に見えない敵には弱いということである。 昨年夏には代々木の公園でデング熱に罹った人が出て大騒ぎとなったが、これから蚊が息を吹き返す時期になる。下手に藪の中も歩けないのでは、おちおち山歩きなどもできない。防疫の大切さを考えさせられるこの頃だ。

3.街中にある危険
 路上を歩いていても危険な目に合うことはある。
 警察庁の発表によれば、2015年5月末までの交通事故発生件数は220,489件、1日平均1460件であり、死者数は1.606名、一日平均10.6名であり、負傷者数が272,307名、1日平均1,803名とその多さに驚かされる(平成28年中の交通事故死者数は3,904人で、昭和24年以来の3千人台となった)。
 これらの数字はあくまで公表された数字であり、その裏に隠れた事故数や、危機一髪で難を逃れた数字を入れたらどこまで膨れ上がるか知れたものではない。それほどに普段我々が使っている路上が危険に満ちているということである。
 交通事故の大半は車同士の衝突や接触によって起きている。ところが路上(小さな道路)での事故は、人対車(自転車含む)の間で発生する。被害を被るのは無論人である。
 特に最近は、自転車による接触事故が多発している。今や自転車は一人一台位に普及している。子どもから大人まで誰でも乗る。特に電動自転車の普及が目立つ。我が家の周辺は山坂が多いこともその一因と考えられる。問題は自転車走行路にある。大きな道路では、ほとんど人と一緒の歩道を走るのが当たり前のこと。
 従って、人との接触事故が増える。自転車に免許はいらないから、いわば無法地帯と言ってもいい位だ。携帯電話をかけながら走るもの、傘をさして走るもの、イヤホンをつけて走るもの。これらは注意散漫の見本であるが、一番は歩道でのスピードの出し過ぎだろう。時速20キロを超えれば、そう急には止まれない。
 見方を変えれば走る凶器になりかねない。結局歩いている人間の方が注意しなければならなくなる。前方は見えるからいいが、後ろが問題だ。下手に進路を変更しようものなら、きっと危ない目にあう。人の間をすり抜けて走り去る自転車など当たり前の光景だ。編集している2017年3月10日のニュースで国道などの幅の広い道路で自転車専用車線が設置され、普及に努めていた。なかなか周知すのには時間がかかりそうだ。
 路上でのハラハラドキドキがこのように日常化している。
 このように、歩くにも気を配るのはしんどいことだが、安全確保の危機管理は自分がするしかない。

4.段差に注意
 段差を埋めるためには一般的には、階段とかスロープを付ける。
 私には何故と思うのだが、一般家庭の玄関口には、必ずと言っていいほど階段を設けていることだ。これは最近の新築家屋でも例外ではない。フラットな方が何かにつけ都合いいと思うのだが。会社や商業施設、学校などは入口はフラットなのが当たり前のように見える。
 昔は道路などのインフラが整わず、水などの被害から避けるため、段差を付けたのは分かる。今は下水道施設や道路も整備されてきているのだからフラットのしてもいいのではないかと思うのだが。 
段差の話しに戻すと、自分の住む家の周囲は段丘に囲まれているので、坂や階段が多く目につく。私が歩くコースにも手摺のない階段が何箇所かある。
 階段で心配なのは、身体のバランスを取ることで、これは年を取れば誰でも感じていると思う。階段の段差でバランスを崩すことがある。転んだことはないが、多くの年寄りが階段で転んで、骨を折ったという話を聞く。
 階段を侮ってはいけない。階段は「そこにある危機」の最たるものであるからだ。よく「まだ若いんだ」と意地になって階段を使う人がいる。その結果転んだりしたら、そうして鍛えた効果など一瞬に消し飛んでしまう。近くにエレベーターやエスカレーターがあれば、それを使うのが一番だ。
 社会の高齢化が進むに連れ、バリアフリーということに関心が集まっている。段差のない住空間を作るということで、どこの家でも、街でもそうなれば、環境は快適化されるのだが。
 そうなると、危機管理というものは、ひとりの力で出来るものではないということが分かってくる。家族や地域社会全体としてこの課題に取り組んでいくことが求められる。

5.防災
 今回のテーマの最後に「防災」について考えてみる。
 防災は大別して、事態の発生を想定して常に身に付けるようにしているものと、事態が起こった場合に備えて家に備蓄しておくものと2種類ある。
 後者は起こらないに越したことは無いが、昨今の状況は予断を許さない。
 それでは自分が外出するとき常時携帯するものを上げてみる。これはコラム2013.11.16語呂合せ(後編)で述べた「筆記具、眼鏡、時計、ハンカチ、パスケース、小物入れ、折り畳み傘、カメラ、キーホルダー、飲料水、ウィンドブレーカー」などである。
 「段差」のところで記したが、できればステッキまたは携帯用のストック(折りたためてリックの脇ポケットなどに収納できる)を付け加えると、なお安全な行動ができる。
 私も普段は荷物が増えるので持ち歩かないが、起伏があり、距離もある大きな公園を訪れる時には、ストックを携えることにしている。転ばぬ先の杖という訳である。歩くときはできるだけ両手をフリーな状態にしておいた方が身のためになる。ということで、長歩きする時はポケットの多い大きめなリックを使うことにしている。小物などを取りやすいように、今の時期なら、上着はポケットの多いサファリジャケットなどを着用するとなお良い。パスケース、財布、携帯などはいつでも取り出せるように上着のポケットに入れておくのが、何かにつけ都合良い。ただ、蓋つきでボタンのかかるものでないと、うっかり下を向くと落っことすことがあるので、その点は気に留めておく必要がある。
 今回は出かける時の防災(危険回避)の留意点に止めたが、防災グッズと呼ばれるものは、ネットを閲覧すればぞろぞろ出てきて数えきれないほどだ。
 最後に一言付け加えると、災害時を生き延びるために必要なもので重要なのは情報である。迅速で正確な情報が得られることで、被災者は確実に安心を得られる。情報の混乱が更なる災厄を招くことは歴史が実証している。「情報の断絶こそ人々の混乱に拍車をかける元凶だ」と言っても言い過ぎではないだろう。






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