これまで紹介してきた仏像画像の内12枚について解説付きで紹介する。(仏像:日東書院)
愛染明王像
愛欲、情欲の煩悩を「煩悩即菩提」の教によって浄化させ、悟りに導く「愛染明王」。朱色の体、憤怒の顔と髪の毛、三目一面六臂の姿を持つ本尊。
阿修羅像
八部衆の内の一神。この像は興福寺国宝の阿修羅立像。八部衆は天、龍、夜叉、乾闥婆(けんだつば)、阿修羅、迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)、摩虎羅伽(まごらが)の八神から成る。
阿弥陀如来像
現世で永遠の生命を与え、念仏を唱えれば臨終のときに迎えにきて、極楽浄土に往生できるとして、浄土宗や浄土真宗では本尊として信仰されている。
阿弥陀とは無量の寿命と無限の光明で人々を救う意味がある。
弥勒如来像
釈迦に続く仏陀と言われる弥勒菩薩。弥勒菩薩が如来となった姿で、釈迦の入滅から五十六億七千万年後に現世に降りて如来となり、人々を救済すると言われている。
金剛力士立像
上半身裸で筋骨隆々として、忿怒相で寺院の門に阿像、吽像の二体一組で安置されている「金剛力士」。金剛杵(先端の尖った手に持つ武器)によって悪を退散させ仏法を守護し、煩悩を粉砕する。
薬師如来坐像
すべての人の病気を治すのはもちろんのこと、国の災禍などをも治す現世利益をもたらす如来である。日光菩薩、月光菩薩をともなう三尊形式が多い。正式名は当方浄瑠璃浄土に住むため、正式名は薬師瑠璃光如来と言う。
大日如来像
密教(「みっきょう」とは、「秘密の教え」を意味し、一般的には、大乗仏教の中の秘密教を指し、日本で密教が公の場において初めて紹介されたのは、唐から帰国した伝教大師最澄による)では如来、菩薩、明王は大日如来の化身であり、宇宙の真理そのものを神格化した密教の頂点に君臨する絶対的存在が大日如来である。
弥勒菩薩像
神々が住む天界の一つ兜率天(とそってん)で修業を続け、釈迦入滅の五十六億七千万年後、仏の教えも廃れる末法の世に降りてきて衆生を救うとされる菩薩。(空海は死の4ヶ月前11月15日に「兜率天にのぼって私は雲の間から地上をのぞき、そなたたちのあり方をよく観察している。そして、56億7000万年後、私は必ず弥勒菩薩とともに下生する」と弟子を集めて語った)
文殊菩薩
古くから知恵の象徴として信仰され、知恵によって悟りの世界へと導く文殊菩薩はインドのバラモンの家に生まれた実在の人物で釈迦の弟子の中でも最も優れた知恵の持ち主だった。
観音菩薩坐像
観音様として古くから多くの人に親しまれている観音菩薩は、衆生に応じて変身し、すべてを救済する大慈大悲の菩薩と言われている。法華経では三十三観音に変身する。
毘盧遮那如来
唐招提寺金堂の乾漆像や、東大寺大仏などの巨大な像で知られる毘盧遮那(ひるしゃな)如来は、仏教の教えを身体化した法身仏で、全宇宙を照らし続け、仏界の心理を表す。華厳経では盧遮那仏(るしゃなぶつ)と言う。
地蔵菩薩像
弥勒菩薩が出現するまで、六道「人間が善悪の業因(ごういん)によって行きめぐる六つの世界。地獄・餓鬼(がき)・畜生(ちくしょう)・修羅(しゅら)・人間・天上。また六趣、六界ともいう」に苦しむ人を救済する。お地蔵さんと古くから親しまれている慈悲深い菩薩。