今年も世田谷ボロ市を訪れた。12月15日雲ひとつない晴天に恵まれ、風もない絶好のコンディションであった。
年々人が増えていると感じるこのボロ市は、代官屋敷
(写真1)で貰ったリーフレットによれば「ボロ市のはじまりは遠く430年の昔に開かれた楽市にさかのぼる。当時関東地方を支配していた北条氏政が配下の城下町世田谷新宿に1578年に楽市を開いた」とあり、その後幾多の困難な時期を乗り越え「近郷農村の需要をみたす農具市、古着市、正月用品市として毎年12月15日に開かれる歳の市として長く保たれた。明治以降になり、12月15、16日の両日、更に正月にも15、16日に開かれるようになり現在に至っている」と書かれている。
今出ている店の中には100年もの長きにわたって引き継がれて、出店している伝統ある店もあるという。殆どが露店である。店の両側にずらりと並び、狭い商店街の道を更に狭くしている。テントの下にある一坪から二坪ぐらいの売り場の先には、骨董品に負けないぐらいのカイゼル髭のお爺さんが座っている様は絵になる。
(写真2) 従って、人が通る道は半端ではない混雑である。
(写真3)一日20万〜30万人に上るというから物凄い数の人である。何でも売っている。最近では新品を売る店も一杯あるし、食べ物を売るお店もかなりの割合を占める。トイレには長蛇の列ができる。
骨董品の店は売られているものの値打ちが分からないので、見て楽しむだけである。といっても流れに押し流されながら眺めるといった方が適切な表現かもしれない。実際眺めるだけで通り過ぎる人が多いから、商売になっているかはどうかは不明である。食べ物の屋台がひしめく通りは別で、結構繁盛していた。200円から500円の食べ物が売れている。食べやすいように串に刺したものがものが多い。店は売るだけで、ゴミ箱が置いてない。食べた後の始末はご自分で、という話のようだ。
(写真4) 10年ほど前はこれほどの混雑ではなかった。窓のブラインドが安かったので買った。1間ほどの大きなものだったが、担いで歩いたが、それほど邪魔にはならなかったと覚えている。今では長尺物はまず歩く妨げになるので、売ってもいない。
私は日常細事でも紹介したように、バッグには拘りがある。とある露店で、小型のリュックが私に呼びかけているように感じたので、即座に買った。古いブランド物でしっかりした作りだ。長年倉庫の中で眠っていたのか、古臭い匂いが染み付いていた。そんな歴史の匂いをまとっているリュックを背負うと体にピタッと合って、バランスがよく歩く時、担いでいることを感じさせない。時間は立っても崩れないのが、職人の技の凄さと言えよう 。
今年のボロ市は、大変な熱気とパワーを感じさせてくれた上に、古い物の良さも味合うことができ、気持ち良く帰路についた。