homememorykouenmeikyusitemap

男の習慣(定年後)

 人には夫々固有の生活があり、同時に習慣となっていることがある。生活の一部が習慣化していることを生活習慣と呼ぶ。典型的な例がルール化された食生活のような日常化されたもので、個人的には糖尿病を改善するためにこの一年で大きく変わった習慣で、生活習慣病対策に原因を見ることができる。
 習慣というのは、日替わりメニューとは違い、一定期間変わらずに続けられて初めて身に付くものだ。
 どこから習慣と呼ぶかは議論のあるところだが、習慣が変わる節目はあると思う。
 私のような平凡なサラリーマンだった者にとっての節目は定年だった。判で押したよう生活から、 フリーのインストラクターの道に方向変換したのだから、当然のようにライフスタイルが変わるのは当たり前だが、激変したことは間違いない。
 これは一般論だが、世の男たちは現役を引退すると、何故か早起きになる。家族の生活が変わったわけではないから、歓迎されるどころか迷惑がられる。5時頃からガタガタ音を立てるのだから、無理もない話だ。そっと家を抜け出て、近くを散歩して時間を過ごす。犬を連れた年寄り連と行き交う。彼らも同じ状況なのか分からないが、犬がいるだけ格好がつく。
 帰ってから朝食。さて、その後どうするかだが、問題だ。庭や畑などある人は、その手入れで一汗流すこともできるが、共同住宅などで生活する者はそうはいかない。普通の隠居は体が元気なら、ゲートボールやウォーキングに出かけることだろう。近くに老人施設や図書館がある場合は、そうした人たちにはそこの常連さんとなる。図書館などで見かける光景は、開館を待って、その日の朝刊を読むため先を争って席を取り、何紙にも目を通す。どうも新聞は朝イチでないと新鮮味が薄れてしまう刺し身のようだ。
 そんなこんなで午前中が終わることだろう。家に帰り、家族と一緒に食事する。そして、食後はテレビでも見ながら昼寝をする。昔の長屋住まいのお年寄りだったら、縁台将棋などで興じていただろうが、いまはそんな光景は見たことはない。時間は経ってそのうち夕暮れ時となる。
 夕食は唯一残された楽しみとなった晩酌などして、夕飯もしっかりと食べる。そうすると9時頃には眠くなることだろう。テレビに興味がなければ、早々に床につく。このような気楽な生活を続けていれば、ストレスも溜まらないから元気を維持できる。こうして新しい習慣が身体に馴染んでいく。
 これは私が描いた定年後の時間を過ごすご隠居のイメージだが、そのように世の中は上手く回っていかないのが常だ。せっかく再構築した新たな習慣もせいぜい10年も続けばいいところ。70歳の声を聞くと、何やら身体が思い通りに動かなくなる。そうなると医者通いが始まる。遅かれ早かれそうなるのは仕方がない。それからの10年は、習慣はその人の運次第で変わるということになる。


 

Copyright 2013 Papa's Pocket All Right Reserved.